毎年、正月明け1月、最初の週の土曜日の午後に、「茶話会」という名称で、私が卒業した東京理科大学(Tokyo University of Science)の同窓会が開かれる。私は昭和47年(1972年)工学部工業化学科を卒業した。大学を卒業後、数多くの発明を行ったが、水の自由電子である水和電子を利用した建物配管内の酸化作用の抑制と還元、そしてその技術を人間の血管内の酸化抑制に利用する事に関しては、特別の想いがあった。
5年程度前になるが、建物としては既に1,500棟以上で配管内の酸化を抑制する実証が為されていた事と、その建物用装置を改造して私の腕に装着するテスト装置で、7年以上私自身が使用し副作用が出ていない事を確認していたので、東京理科大学 薬学部卒業の、奥羽大学 薬学部准教授である山本先生に出会った時に、建物の配管内防錆装置である「NMRパイプテクター」の話と、その技術を人間の血管に対する酸化抑制装置として応用する事を提案した。
当初から、彼は、大変興味を持って話を聞き、可能な限りの資料やデータを提供してくれる事を望んだ。しかしながら、どの様な実験・研究をしたら良いか思いあぐね実際の実験を開始するまで、その後約3年間を費やした。
私が必ず医学的・薬学的に、この技術が応用できるはずと、確信していた理由が別にあった。彼に会う2年前に、青森県の産婦人科医であった池田先生と偶然知り合い、建物の配管内防錆装置である「NMRパイプテクター」の説明をしていたところ、池田先生より、人間の血管に作用させる小型で安い装置を、テスト的に作ってくれと依頼され、手の指を挿入するタイプのYubi-MRの原型となる小型装置を5セット程作成し、試験用に提供した。
池田先生はこれを病院に来た患者さん(全員女性)に試験的に使ってもらい、その評価を得たところ、それを使用した老年の方から若い方まで全ての人が、「よく眠れるようになった」と評価してくれた。また、肩こりが酷い方は「全員肩こりの痛みが解消した」との評価もしてくれた。
この事前の評価を得ていたので、私はYubi-MR装置に指を挿入するだけで、直接血液に作用させ、水和電子を血管内に発生させ、活性酸素を抑制する事が、可能であると確信していた。
そして、2年前に山本先生より突然電話があり、彼の研究室で血液中のD-ROM(酸化ストレス度)とBAP(抗酸化力)を測定する装置(FRAS4)が使用できるようになったと知らされた。被験者を大学内で募集し、血液を採取し測定実験をする為には、大学内の「倫理委員会」の認可が必要であり、NMRの技術を説明し理解を得る事は、その時は容易ではなかった。
それで、彼は自分自身の血液を採取し、その後指挿入型のテスト装置(名称:Yubi-MR)に自分の指を10分間挿入し、そして再度血液を採取し、D-ROMとBAPの変化を測定したところ、活性酸素の度合いを示すD-ROMは明確に有意差のある低下を示した。
BAPは人が自然に持つ抗酸化作用の能力で、これは全く低下を示さず副作用が無い事も明確になった。以上の結果を彼は大学に示し、「倫理委員会」の認可を得て「Yubi-MR」を使用しての正式なD-ROMとBAPの測定実験が開始された。
被験者となる9名の学生も決まり、採血する為、医学博士の小池教授、動物実験を行う米原教授も加わり、本格的な実験が開始された。被験者の9名の学生は、20代前半の若者であるが、全員何らかの「睡眠障害」を感じていたと言う。しかし、このYubi-MRの装置に10分間指を挿入する事で、全員が「睡眠」がスムースに取れるようになったとの評価を示したとの事であった。これは、動物実験で使用した全てのマウスが実験用大型Yubi-MR装置(NMRパイプテクター改造品)で処置を行うと、運動量の低下、つまり「睡眠」時間の増加を示したのと整合する結果となった。今まで、このYubi-MR実験装置を使用した人全員が最初に評価するのが、この「睡眠」が速やかに、そしてスムースに取れるという事と一致する。おそらく、酸化ストレスが「睡眠」に対しネガティブに影響していたのを減少させ、その悪影響を取り除いた事によると思われる。
D-ROM値は、各個人で元々差があるが、Yubi-MRを使用する前と後では、9名全員のD-ROM値(活性酸素の度合い)が大きく減少している事を示した。これは個人差でD-ROM値が減少したりしなかったりするのではなく、被験者全員がそのD-ROM値の減少を有意差の有る数値で示したという事は、世界初の快挙と言われている。
世界で最初に血液中の活性酸素の働き(酸化ストレス)を減少させた、医学的、薬学的実験となった。物事には必ず良い面と悪い面が有り、血液中のD-ROM値を減少させても副作用で個人が持つ免疫力とも言えるBAP(抗酸化能力)値が同時に減少したら、このD-ROM値を減少させた偉大なる実験は意味がなくなってしまうが、実験結果から被験者9名全員のBAP値は全く変化せず、全くこの面での副作用は無い事が明白になった。
つまり、個人の抗酸化作用の能力に全く影響を与えず、血管内で活性酸素の働きを抑制する事に、世界で最初に成功したわけである。この結果は、彼の大いなる努力で臨床医と薬理学者のジョイント学会である世界臨床薬理学会(World Pharma)の第16回総会で発表をする事となり、2010年7月22日(日本時間23日)デンマークのコペンハーゲンで彼ら3先生、そして私の4名の共同研究として発表された。
私も世界臨床薬理学会総会に3名の先生と一緒に出席し、1週間各種論文や研究発表を聞いたが、今や世界の医学、薬学の研究は「活性酸素の働きをいかに抑制できるか」が主要テーマになっており、活性酸素が各種癌の誘引物質であり、糖尿病、血栓症等の殆ど全ての疾患の原因物質と言われている為、世界規模の大手製薬会社の殆どは、世界で著名な研究機関や大学と共同で活性酸素を抑制する薬物の研究に取り組んでおり、可能性の物質を数万種調査した研究報告や、フランス政府は赤ワインの消費を増やすべくポリフェノールの抗酸化作用の研究報告などを行っていたが、血液中の活性酸素を抑制する事に成功した論文、或いは研究報告は全く無かった。現段階では、経口で投与され副作用も無く、胃で分解され、大腸小腸で吸収された後に血液中で抗酸化作用をもたらす物質は存在せず、又、その研究に全ての研究機関が現段階では成功していないというものであった。唯一の例外は、私達4名の共同研究である、「Yubi-MR」により血中の酸化ストレス値を減少させる研究発表が、血中の活性酸素の働きの抑制に成功した世界で最初の研究成果になったという事であった。