コラム#01 生きる為の矛盾

2020年11月6日
コラム

人は酸化反応で生き、酸化反応で老いる。我々人類及び植物を除く全ての生き物は、食べた食物を酸化反応で分解し、そこから生じたエネルギーを利用して生きている。だから、空気中に存在する酸素は我々人類が生存する為には絶対不可欠なものであり、我々人類は呼吸することにより空気中の酸素を体内に取り入れ、その酸素の力を借りて食べた食物を、胃から分泌するPH3の強力な胃酸で消毒と分解をし、大腸・小腸で吸収された養分である糖やたんぱく質等を、各細胞に送り込み、ミトコンドリアでエネルギー代謝を行う為、そこで酸素と反応させている。また、食物中の糖分、脂肪分、及びその分解で生じたコレステロール等を酸素と共に血管を通じて体内の主要な臓器や筋肉、並びに各部の細胞へ送り、そこでの酸化反応により熱エネルギーを取り出し、生命活動を維持している。

この酸化反応が単に生命活動の為にだけ使われている場合は良いが、ミトコンドリアでのエネルギー代謝の代謝過程において一部の酸素が、活性酸素と呼ばれる反応性が高い状態に変換されることがある。発生した活性酸素・フリーラジカルは様々な物質に対して非特異的な化学反応をもたらし、細胞に損傷を与え得る為、その有害性が指摘されている。また活性酸素は無秩序的に不必要な酸化反応を起こし、血管内壁に不飽和脂肪酸の酸化による重合皮膜を形成し、血管内及び細胞に障害をもたらし、動脈硬化や血栓を起こしやすい体質にすると言われている。更に、細胞間に酸素を介在した架橋反応を起こし、軟らかい細胞のフレキシビリティー(自由度)を損失させ、固い細胞へと変化させてしまう等の他に、活性酸素は1回の細胞分裂当りのテロメア短縮を大きくし、細胞の分裂回数を減らすので、活性酸素は細胞の寿命を短くすると言われている。その他、活性酸素はDNAの酸化をもたらし、核酸に障害を起こし、結果として細胞の癌化をもたらすと言われている。

特に血管内壁のコレステロールの酸化重合膜の層は、血管の軟らかさを失わせ、血管を固くし、心臓が血液を送った時に血圧が、上昇しないように血管が柔軟に変化する機能を、失わせ、血圧が上がると共にその動脈が、体全体の細胞に供給している栄養分の補給を、そのコレステロール重合層が阻害すると同時に、細胞で生じた「老廃物」を静脈を通じ体外に排泄する機能を低下させ、その細胞の活力の低下、すなわち老化現象を起こさせると言われている。この酸化反応が持つ二つの側面を区別し、対処することが老化防止に繋がる。すなわち、生命活動を維持する為の血中の酸素に影響を与えず、無秩序的に血管内にコレステロールの酸化重合層を発生させたり、主要臓器及び細胞の酸化を起こす活性酸素・フリーラジカルの活動を抑制する事が、老化防止となると言われている。